アパート・マンションを長く保有していると、オーナー様の多くは「このまま保有でいいのか、それとも建て替えを検討すべきか」という悩みに直面します。
家賃が入っている限りは「とりあえず保有」で良いように考えがちですが、その判断を「なんとなく」続けてしまうと、資産効率が大きく落ち込んでしまうリスクがあります。
そこで重要なのが、建て替えの判断軸を「数字」で持つことです。
■判断軸1:収益力(キャッシュフロー・ROA)
・現状の家賃収入から修繕費・維持管理費を引いた「実質収益」を把握
・ROA(総資産利益率)で効率を測定
・築古物件は減価償却の終了による税負担増、修繕・維持管理費増の状態が重なり、資産効率が低いケースが多い
■判断軸2:競争力(空室率・賃料水準)
・近隣の新築・築浅物件と比べて、賃料水準や入居率に差が出ていないか
・設備・間取り・デザインの陳腐化が、じわじわと空室リスクにつながっていないか
・「募集に時間がかかる」「広告費が増えている」場合は要注意
■判断軸3:将来の修繕負担
・外壁・屋上・給排水管など、大規模修繕のタイミングが迫っていないか
・数百万円単位の修繕を行うより、資金を建て替え投資に回す方が合理的な場合も
■判断軸4:資産の次世代承継
・相続・贈与の局面で「老朽化した建物」は評価額が低く税制面で有利でも、維持費・管理負担は残る
・建て替えで収益力を高めておくことで、次世代への承継がスムーズに「とりあえず保有」という選択肢は、資産を眠らせるリスクがあります。
収益力・競争力・修繕負担・承継の4つの軸から現状を数字で評価し、
・維持するのが合理的か
・再生(建て替え)に進むべきか
を判断することが、資産最適化への第一歩です。
不動産経営は「持ち続けることが安全」ではなく、「数字に基づいて判断することが安全」といえますね。