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【ブログ】なぜ「表面利回り」では危険なのか? ROAで見直す資産運用の視点

賃貸不動産を所有されている方にとって、「表面利回り」は身近な指標の一つでしょう。
物件購入や売却を検討する際にも、不動産会社から「利回り○%」と示されるのが一般的です。
しかし実際には、この「表面利回り」だけで物件の良し悪しを判断することはできません。
なぜなら、そこには資産運用の本質が見えてこないからです。

 

■表面利回りの落とし穴
表面利回りは、「年間家賃収入 ÷ 物件価格」で計算されます。
例えば、家賃収入が600万円で、購入価格が6,000万円であれば、利回りは10%。
数字だけ見れば、なかなか魅力的な物件に思えるかもしれません。

 

しかし、この指標には以下のような「現実のコスト」が一切反映されていません。
▶固定資産税
▶修繕費・原状回復費
▶空室期間中の収入減
▶管理費・広告費

 

つまり表面利回りは、「経費を引く前の売上だけを見ている」に過ぎないのです。
売上があっても利益がなければ意味がありません。
収益性を測る材料としては、あくまで「目安」にとどまります。

 

■ROA(総資産利益率)という視点
では、何を基準に物件の良し悪しを見極めればよいのでしょうか?
そこで有効なののが「ROA(総資産利益率)」という指標です。

ROAは「年間の実質利益 ÷ 総資産額」で計算されます。
簡単に言えば、
「いくらの資産を使って、どれだけの利益を生んでいるか」
という資産運用効率を示す数値です。

 

例えば、家賃収入は多いけれど修繕費や管理コストでほとんど手残りがない物件は、ROAが極端に低くなります。
逆に家賃収入は少なめでも、経費が抑えられて利益がしっかり残る物件あら、ROAは高くなります。

 

■資産全体を見直す「投資のものさし」に
ROAの優れている点は、単一の物件だけでなく資産全体の見直しにも使えることです。

例えば、
・相続で受け継いだ築年数の経過したアパート
・一部空室が目立つ店舗ビル
・借地権や底地などの流動性が低い不動産

 

これらを「なんとなく所有し続けている」場合でも、ROAで客観的に評価すると、思ったよりも利益を生んでおらず、資産効率が悪いことに気づくケースがあります。

そうした物件は、建て替え・売却・資産組み換え・底地整理などを行うことで、より高い利益を得られる資産に再構成することが可能です。

 

■ROAは「経営の視点」
ROAはもともと企業が事業の効率性を測るために使う指標ですが、不動産経営も立派な「事業」です。

特に、資産を世代を超えて承継しようと考えている方にとって、ROAの視点は非常に重要です。

・表面利回りは「期待値」
・ROAは「実力値」

 

この違いを意識することで、不動産を、「単なる所有物」から「収益を生む経営資源」へと昇華させることができます。

 

■まとめ
数字に惑わされず、資産の実力を見抜くために。今こそ、“ROAで資産を見直す”タイミングかもしれません。

 

見かけの利回りではなく、実際に手元に残る利益。
それを基準に資産の再構成や経営判断をしていくことで、持続可能な資産運用が実現していきます。