2026年4月1日から、不動産の所有者(登記名義人)が引っ越しなどで住所を変更した場合、変更の日から2年以内に住所変更登記を申請することが法律で義務化されます。
これまでは任意だった手続きが、今後は怠るとペナルティの対象になります。
■背景にあるのは所有者不明土地問題
登記簿上の住所が古いままだと、所有者と連絡が取れず、土地の活用や相続手続きが進まないケースが増えています。
こうした「所有者不明土地」の発生を防ぐために、不動産登記の情報を最新に保つことが求められるようになりました。
■施行前の住所変更も対象です
注意したいのは、この法律の施行日前に住所が変わっていた場合でも、まだ登記していないなら義務の対象になるという点です。
「何年も前に引っ越したけど登記はそのまま」という方も、放置しておくと法律違反になる可能性があります。
正当な理由なくこの義務を怠った場合は、5万円以下の過料が科されることがあります。
■自動で登記が変わる職権登記制度もスタート
今回の改正では、登記官が職権で住所変更登記を行える制度も新設されます。
個人の場合は、法務局に自分の氏名・住所・生年月日などを「検索用情報」として申し出ておくことで、住所が変わったときに自動的に登記簿上の住所を書き換えてくれるようになります。
さらにこの場合、職権登記でかかる登録免許税(1不動産あたり1,000円)が非課税となります。
ただし、登記を実行するには本人の同意が必要です。
一度申し出をしておけば、次回以降の引っ越し時にも自動対応されるので、手間を省きたい方には便利な仕組みです。
法人の場合はさらに便利になります。
不動産登記に「会社法人等番号」を紐づけておくことで、商業登記(本店移転など)を行うだけで、不動産登記の住所も自動で変更されます。
法人の場合は同意は不要です。
■義務違反があった場合の流れ
義務違反が確認されると、まず法務局から催告(通知)が届きます。
この催告期間内に登記をすれば過料は回避できます。
催告を無視しても、重い病気や経済的困難などのやむを得ない「正当な理由」がある場合は、客観的な資料を示して説明すれば、すぐに過料が科されるわけではありません。
まずは通知が来た段階で、速やかに登記を行うことが大切です。
■まとめ
・2026年4月1日から住所変更登記が義務化
・変更から2年以内に登記が必要
・施行前の住所変更も未登記なら義務化の対象
・職権登記制度で自動変更も可能(登録免許税非課税)
・放置すると5万円以下の過料のおそれ