築年数が経過したアパートやマンションを所有していると、いずれ「建て替えるべきか、それとも現状維持か」という大きな判断に直面します。
多くのオーナー様は、建物が古くなり入居付けが難しくなることで初めて検討を始めますが、実際にはもっと早い段階で“数字”をもとに判断軸を持っておくことが重要です。
■建て替えは「支出」ではなく「投資」
建て替えには当然ながら多額の資金が必要となります。
そのため「借入が増えるのは不安だ」「もう年齢的に建築はしたくない」と敬遠される方もいるでしょう。
しかし、建て替えを「支出」としてではなく、「投資」としてとらえることは大切です。
新築物件は賃料水準が上がり、入居率も改善するため、収益力が大きく変わります。
建て替えるかどうかを見極めるうえで重要なのが、投資に対してどれだけ利益を生み出せるか=ROAでの比較です。
■ROAで考える建て替えの価値
建て替え前後でROAを比較してみると、資産がどれだけ効率的に働いているかが明確になります。
・築古のまま保有 → 資産規模は大きいが収益は先細りしていく一方でROAは低下
・建て替え後 → 投資額は増えるが収益力が高まりROAが改善
この比較を行うことで、感覚や安心感ではなく、「資産を効率的に活用しているかどうか」という経営的な判断が可能になるのです。
■「建て替えない」選択も戦略のひとつ
一方で、必ずしも建て替えが最適解とは限りません。
土地の立地や周辺需要によっては、建て替えても十分な利回りを得られないケースもあります。
その場合には売却や資産組み替えという選択肢も検討する必要があります。
■経営者としての意思決定
不動産は現状維持が安心ではありません。
ROAというものさしを使って、建て替えるべきか、建て替えないべきかを冷静に判断することが、オーナー様がおさえておきたい視点といえますね。